アップルの「デザイン哲学」とは?
新CMから"こだわり"を読み取る
あらゆるアップル製品に刻印されている署名「Designed by Apple in California」(カリフォルニアのアップルがデザインした)をコンセプトに、同社の"哲学"ともいうべきこだわりを語るというもの。同社の公式サイトでは「Design by Apple」ページが開設されており、そこでもCM動画を視聴することが可能。
CMでは、穏やかな口調の男性ナレーションが「これだ。これこそが大切なんだ」と語り始め、まず製品がもたらす"ユーザー体験"こそが重要だと述べる。そして、具体的に「人が何を感じるのか? 生活をより良くするのか? 存在する価値があるのか?」という疑問を投げかけ、それらの問いを追求することが豊かなユーザー体験をもたらすことだと示唆する。
また、アップルはいろんなものに手を出すのではなく、「数少ない素晴らしいものだけに時間を注ぎ込む」と述べ、自分たちの目的は「(製品を)手にする人の暮らしを輝かせる」ことだとする。そして、CMの最後には「あなたは気付かないかもしれない。けれども、いつも感じ取っているはずだ」と語り、これが私たちのサインだと「Designed by Apple in California」の文字が画面に表示される。さらに、このサインこそが「すべてを語る」というナレーションで締めくくられる。
特定の製品をフォーカスしたものではない企業CMであり、抽象的かつ叙情的な内容となっているが、豊かなユーザー体験をもたらすためのデザインに、アップルがいかにこだわり抜いているかを印象づけるCMだといえる。同社のデザインへのこだわりは、こちらも日本語版が公開されたiOS 7の紹介動画でも読み取ることができる。同動画は、iOS 7の紹介ページから視聴可能だ。
iOS 7の紹介動画では、同社のデザイン担当上級副社長であり、iOS 7のインターフェイス刷新の陣頭指揮を執ったとされるジョナサン・アイブ氏が登場し、iOS 7のデザインの特徴について語っている。アイブ氏は、「デザインは単なる見た目をはるかに超えるものだ」と述べ、「デザインが私たちの体験の多くを決定づける」とデザインの重要性を指摘する。さらに、「深く揺るぎのない美しさは、シンプルさ、明確さ、効率の良さの中に存在」し、デザインとは「複雑さの中に秩序をもたらす作業」だと述べたうえで、「iOS 7は、この目標を明確に体現している」と語る。
また、アイブ氏は「私たちが目指したのは、あらゆる面で控えめで操作を引き立てるインターフェイス」だと述べ、「デザインの主張を抑えると、コンテンツが引き立つ」と指摘。あくまで重要なのはコンテンツであり、インターフェイスのデザインはコンテンツを際立たせるためのものだと語っている。動画の最後でアイブ氏は、iOS 7ではiOSの登場以降でもっとも大きなインターフェイスの変更が行われたとし、「iOS 7は(今後の)重要な方向性を定めた」と語り、「ここからが始まりだ」と高らかに宣言する。
「Designed by Apple in California」をコンセプトにした新しいテレビCMと、大幅にデザインが刷新されたiOS 7の紹介動画からは、アップルがいかにデザインにこだわっているかを読み取ることができる。スマートフォンでは、とかく新しい機能やスペックにばかり注目が集まりがちだが、アップルの新CMは"それは本当に必要なのか?"と疑問を投げかけ、重要なのはユーザー体験をもたらすためのデザインだと述べる。そのアップルが新しい方向性を示したiOS 7のデザインが一体、どのようなユーザー体験をもたらすのか。今後の動きに注目が集まる。
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